トレードの合間に聴いた落語を一日一席ずつ紹介していきます。

立川志の輔  死神


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死神(しにがみ)
●何かにつけて金に縁が無く、子供に名前をつける費用すら事欠いている主人公がふと「俺についてるのは貧乏神じゃなくて死神だ」と言うと、何と本物の死神が現れてしまう。仰天する男に死神は「お前に死神の姿が見えるようになる呪いをかけてやる。もし、死神が病人の枕元に座っていたらそいつは駄目。反対に足元に座っていたら助かるから、呪文を唱えて追い払え」と言い、医者になるようアドバイスを与えて消えた。
ある良家の跡取り娘の病を治したことで、医者として有名になった男だが『悪銭身に付かず』ですぐ貧乏に逆戻り。おまけに病人を見れば死神はいつも枕元に・・・とあっという間に以前と変わらぬ状況になってしまう。困っているとさる大店からご隠居の治療を頼まれた。行ってみると死神は枕元にいるが、三千両の現金に目がくらんだ男は死神が居眠りしている間に布団を半回転させ、死神が足元に来たところで呪文を唱えてたたき出してしまう。
大金をもらい、大喜びで家路を急ぐ男は途中で死神に捕まり大量のロウソクが揺らめく洞窟へと案内された。訊くとみんな人間の寿命だという。「じゃあ俺は?」と訊く男に、死神は今にも消えそうなろうそくを指差した。曰く「お前は金に目がくらみ、自分の寿命をご隠居に売り渡したんだ」。ろうそくが消えればその人は死ぬ、パニックになった男は死神から渡されたロウソクを寿命に継ぎ足そうとするが……。
「アァ、消える……」
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%BB%E7%A5%9E_%28%E8%90%BD%E8%AA%9E%29 より転載)

志の輔は穴倉の場面から独自の噺に変えていく。蝋燭は《寿命》としないで、《運》という言葉に代える。あの悪巧みで男は運をすべて使い果たした。確かに今の時代、寿命は運である。連続する《誰でもよかった》という殺人事件、亡くなられた方は運が悪かったとしか言いようがない。逆に同じ場所にいて助かった人は運がよかった。以前は人の死は確かに寿命だった。そこには生きる知恵が役立った。しかし、悲しいことに、生死も運だけに左右される、そんな時代になってしまった。志の輔の言うように「今の状況はこういうことなのだ」と気づかされる。
志の輔は、この先をどんどん変えていく。男は思いついた屁理屈に死神を巻き込んで、まっさらな蝋燭を手にし、うまく繋ぐことができる。男の最後の運が輝きを放つ。火を絶やさないようにしたいという一心で、家に持って帰ろうとする。穴倉から出た。しかし、死神の知恵の方が勝っていた。昼間の光の中で「こんな明るいのにもったいないよ」。男は死神の言葉に思わず、蝋燭をふっと吹く、運の尽き。これが志の輔の落ちである。
悪巧みに一瞬の知恵が勝つ。死神は仲間から追放されそうな状況で、冗談みたいな知恵で窮地を脱した。そんな噺になっていた。この変え方が志の輔の時代を読んだ知恵である。
(http://www.toshinkagaku.co.jp/forum2/index20080801.htmlより転載)

志の輔は「死神」を「とにかく陽気に、落語らしくやりたかった」と、長井 好弘さんに語っている(プログラム)。 そこでローソクの火も、“寿命”じゃ なくて“運”としてみた。 それで昨日の長い長い“運”のマクラを振り、当 <日記>も二日にわたることになってしまった。 そういえば、死神もあまり 恐くない死神だったし、最後に入る洞窟もそんなには暗くない場所だった。
(http://kbaba.asablo.jp/blog/2007/07/03/1621826より転載)

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