トレードの合間に聴いた落語を一日一席ずつ紹介していきます。

柳家喬太郎  布哇の雪


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※「布哇の雪」は収録されていません。
布哇の雪(はわいのゆき)
●演出で、非常口の明かりを消し、冷房を切ったのか場内が暑くなってきた。少しやったところで、いいのかな、トリでこんな噺をやって、と喬太郎。
新潟の豪雪地帯、上越高田の町に、おじいちゃんの留吉と、こっちの大学(コロ ンビア大学新潟分校)に受かったメソポタミア語専攻の孫娘サトミが住んでいる。 海外からダイレクトメールが来る。 留吉は敵性語だというが、サトミが読むと、ハワイのジョージ藤川という日系三世からで、おばあさんのチエコさんが死にかけていて、一目留吉に会いたいと言っているという。 チエコさんは留吉の幼馴染、チィちゃんトメちゃんという仲で、よく二人で雪かきをした。 長ずるにしたがって思いが深くなり、将来をかたく誓い合った。 しかしチエコさんは、止めるのも聞かずにハワイへ渡り、戦争で敵国の人になった。  留吉は見合いをして、ばあさんと一緒になって、サトミの親を産んだ。
腕相撲大会のチラシが入った。 部門優勝者はペアでハワイへ。 85歳以上、 ディープ・シニアの部で、永遠のライバル“越後のトビウオ”酒屋の清吉と闘うことになり、サトミは八百長を頼みにいくのだが、笑止千万、わしが行くと断わる。 “トビウオ・スペシャル”が決まりそうになり、留吉が「チィちゃん、ごめん」と言ったところで、力が抜け、「負けたよ、留吉。 わしの分まで 看取ってやってくれ」。
喬太郎は、これしかないと、手を広げて「ブーン」とハワイへ。 出て来たのは「留吉さんでっか。 わいがジョージ藤川でんねん、めんぼくねえ」という間違った学習法で日本語ペラペラの男。 中庭でチエコさんが待っているという。 「なつかしいなぁ、チィちゃんや」
場内は暗転し、スポットを浴びた喬太郎。 「あら、トメちゃん、ひさしぶ り」 かつての上越高田と同じように、何かが降ってきた。 (三味線が入って)「雪だ」 「いい人生だった」 「わしも、そう遠くないうちに、行くよ。  生まれ変わるなら、必ず世帯を持とう」 「約束する、ありがとう」 確かに ハワイにも、しんみりとした雪が降るのであった。
(http://kbaba.asablo.jp/blog/2009/07/20/4446108より転載)

さあ、トリはお目当ての喬太郎、「ハワイの雪」これがですね、本当に空前絶後の出来でした。私が今まで落語を聞いてきてこれほど感動した噺はありませんですよ。前半、というよりもサゲの直前までずっと笑いをとりっぱぱなしなんですよ。ドッカンドッカン受けて。爆笑落語で、このまま笑いを取って落ちでまた笑わせて終わるんじゃないかと思えどもさにあらず。
それがですよ、サゲの直前。照明も落として一気に人情噺風になる。これがまたうまくてね、泣きに持っていくわけですよ。それも、円楽みたいにお涙頂戴を前面に押し出すわけじゃない。筋立てとして上手に持ってくんですよ。後5分、話が長かったら私も落涙しちょったかも知れん。少なくとも終わった時点で目は赤くなッちょったんじゃないかとは思います。
あれだけ笑わせながら同時に泣きにも持っていける、喬太郎おそるべしですよ。まだ40代半ばくらいで若いですし、成長していくでしょうし、すぐに川の向こうに行くという心配もないし、ことによると名人の領域も、ですかね。
(http://d.hatena.ne.jp/shikibee/20080229/1204378145より転載)

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