トレードの合間に聴いた落語を一日一席ずつ紹介していきます。

柳家小さん(五代目)  たらちね


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たらちね(たらちね)
●長屋でただ一人の独り者の八五郎のところに、大家が縁談を持ちかけてきた。年は十九で、近所の医者の姪だという。器量は十人並み以上、夏冬の着物もそろえているという、まことに結構な話。結構すぎて眉唾なくらい。
「そんな女が、あっしのような男のところへ来るわけがない。なんか、疵でもあるんじゃないですか」
「ないと言いたいが、たった一つだけある」
もとは京の名家の出で、言葉が女房言葉。馬鹿丁寧すぎてまるきりわからないという。この間も、目に小石が入った時「ケサハドフウハゲシュウシテ、ショウシャガンニュウス」つまり「今朝は怒風激しゅうして、小砂眼入す」と、のたもうたそうな。
そんなことはなんでもないと八五郎がOKしたので、その日のうちに祝言となった。なるほど美人なので、八五郎は大喜びだが、いざ話す段になると、これが相当なもの。名を聞くと「そも我が父は京都の産にして姓は安藤名は慶三あざなを五光、母は千代女と申せしが、わが母三十三歳の折、ある夜丹頂の鶴の夢を見てはらめるがゆえに、たらちねの胎内を出でしときは鶴女と申せしがそれは幼名、成長の後これを改め清女と申しはべるなぁりいー」
「ナアムミョウ、チーン、ご親類の方からご焼香を」
これではかみ合わない。ネギが一文字草、米はしらげと、通訳がいるくらい。朝起きれば起きたで「アーラ、わが君、しらげのありかはいずこなりや」
頼むから、そのアーラワガキミてえのはやめてくれと言っているところへ、葱屋がやって来た。
「こーれ、門前に市をなすあきんど、一文字草を朝げのため買い求めるゆえ、門の敷居に控えておれ」
「へへへー」
ようやく味噌汁ができたが、
「アーラわが君。日も東天に出御ましまさば、うがい手水に身を清め、神前仏前へ燈灯(みあかし)を備え、御飯も冷飯に相なり候へば、早く召し上がって然るべう存じたてまつる、恐惶謹言」
「飯を食うのが恐惶謹言なら、酒ならよって(=酔って)件の如しか」
(http://senjiyose.cocolog-nifty.com/fullface/2004/11/post_16.html より転載)

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